とりあえず会社を作るのは危険?メリットや注意点についても解説!

インターネットで情報を調べれば、今では簡単に会社を設立できます。

また、資本金の条件も2006年から大幅に緩和されました。

以前は株式会社なら1000万円以上、有限会社なら300万円以上という決まりがあり、ハードルが高かったですが、現在は資本金1円から会社を設立できます。

つまり見切り発車でも会社を設立できるのですが、勢いで設立してしまう前に把握しておきたいポイントがあります。

後悔したり負債だけが残ってしまったりしないよう、この記事では会社を作る前に知っておきたいこと、メリット、注意点などについて解説します。

とりあえず会社を作る前に知っておきたい4つのこと

会社を設立する前に、最低限以下の4点を把握しておいてください。

会社の設立は難しくない

冒頭でも触れましたが、実は会社設立は難しくありません。

以前は情報を入手するのも資金を用意するのもハードルが高かったのですが、今はインターネットがあり、また資本金も少額で済むので会社設立のハードルが低くなっています。

言い換えれば、会社設立自体はいつでもできます。

そのため、大きなミスを防ぐための事前準備をしてから会社設立をしても遅くはありません。

登記関係のコストが掛かる

資本金1円から会社設立が可能と先ほど述べましたが、登記関係のコストはかかります。

具体的には、定款にかかる費用と設立登記にかかる費用です。

定款とは会社を経営していくためのルールをまとめたもので、会社の設立登記に際して制定する義務があります。

定款にかかる費用と設立登記にかかる費用は、株式会社と合同会社でそれぞれ異なります。

具体的には、それぞれ以下のようになっています。

【株式会社】

●定款にかかる費用

・紙の定款

印紙代:40,000円

認証手数料:50,000円

定款の謄本:2,000円程度

・電子定款

印紙代:なし

認証手数料:50,000円

定款の謄本:2,000円程度

●設立登記にかかる費用

登録免許税:「資本金の金額×0.7%」か150,000円のいずれか高い方

【合同会社】

●定款にかかる費用

・紙の定款

印紙代:40,000円

認証手数料:なし

定款の謄本:2,000円程度

・電子定款

印紙代:なし

認証手数料:なし

定款の謄本:2,000円程度

●設立登記にかかる費用

登録免許税:「資本金の金額×0.7%」か60,000円のいずれか高い方

これらにプラスして、電子定款に必要なシステム費用、会社の実印作成費用などがかかります。

トータル金額としては、株式会社で20万円~25万円程度、合同会社で6万円~11万円程度が相場と言えるでしょう。

参照:定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用 | 日本公証人連合会

赤字でも毎年税金を納める必要がある

法人の場合は赤字でも、一部の納税義務が生じます。

赤字でも納めなければならない税金と、原則的に納税義務がなくなる税金は以下です。

【赤字でも納税義務のある税金】

消費税

法人住民税の均等割

一部法人の法人事業税

【赤字の場合原則納税義務がない税金】

法人税

法人住民税の法人税割

法人事業税(資本金1億円以下の法人)

法人の税金と言えば法人税の印象が強いかと思いますが、その他にも複数の税金があります。法人税は法人の所得に対して課せられる税金なので、赤字であれば課せられません。

しかし、消費税など法人の所得に関係なく課せられる税金もあります。

住民税と法人事業税に関しては、赤字だと課せられない部分と、赤字でも課せられる部分があります。

法人が赤字でも税金はゼロにはならないので、常に資金をストックしておかないと倒産してしまう可能性が高いということです。

社会保険に加入する必要がある

会社を設立したら、従業員が社長1人でも社会保険に加入する必要があります。

社会保険とは、健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険、介護保険などの公的保険の総称です。

社会保険はそれぞれ加入義務の条件が異なり、会社を設立した時点ですべての社会保険への加入が必須というわけではありません。

しかし少なくとも健康保険への加入は必須で、従業員を雇う場合は労災保険と雇用保険が必要です。

とりあえず会社を作る際の会社形態

会社の登記コストの部分で触れましたが、会社の形態には大きく分けて株式会社と合同会社があります。

とりあえず会社を作る場合、どちらで設立すべきなのか、それぞれのメリットをご紹介します。

株式会社のメリット

株式会社には以下のようなメリットがあります。

・複数の人から出資を受けられる

・社会的信用がある

株式会社は株を発行し、出資を募ることができます。

資本金として用意する自己資金だけでは足りない場合、株式会社でないと事業が成立しません。

自己資金だけで足りている場合も、株式会社であれば今後の事業拡大に有利です。

また、株式会社は認知度が高く、社会的な信用を得やすいです。

現在は元手が少なく済む事業形態も増えているため、結果的に合同会社は増加傾向にあります。

合同会社が増えたことによって合同会社の信用も伸びてはいますが、株式会社にはまだまだ劣るでしょう。

社会的信用が重要なビジネスでは、株式会社を設立した方がクライアントや取引先からの評価が高くなると考えられます。

合同会社のメリット

合同会社には以下のメリットがあります。

・設立費用を抑えられる

・意思決定がスムーズ

・自由度が高い

合同会社は株式会社よりも設立費用を低く抑えられます。

これについては上の登記関係のコストでご説明した通りです。

また、合同会社には出資者がいないため、意思決定がスムーズです。

加えて、株式会社の場合は、重要事項を決定する際には株主総会を開催する必要があります。

その点、合同会社の方が経営の自由度は高いと言えるでしょう。

他にも、決算公告の義務がない、役員の任期がない、利益配分を自由に決められる、といった点でも経営の自由度が高いです。

とりあえず会社を作る目安は?

「とりあえず会社を作る」という選択が正しいかどうか、判断するポイントを3つご紹介します。

事業拡大の計画があるか

会社経営において、予期せぬ展開やトラブルはつきものです。

そして、何か起こるたびに臨機応変に対応する必要があります。しかしながら、計画が不要というわけではありません。

基本的には事業拡大のための事業計画に従って会社経営を行い、計画外のことが起こった場合には臨機応変に対応します。

無計画に行き当たりばったりで経営するわけではないので、会社設立する前に事業拡大の計画は必要ということです。

会社設立後は、経営活動や事務作業に追われます。

長期的な視点で計画を立てる余裕がなくなる可能性が高いでしょう。

そのため、会社設立前に事業拡大の計画を立て、羅針盤を作っておくことが重要です。

税金面でどちらが有利か

会社設立と個人事業主で選択に迷っている方もいるはずです。

会社と個人事業主では複数の違いがありますが、事業としてどちらでも成り立つ場合、税金が大きな指標になります。

社会的信用が必須の場合や従業員を雇う必要がある場合には個人事業主という選択は難しいですが、そうでない場合は個人事業主の方が節税になる場合もあります。

主な税金比較としては、個人事業主の所得税と、会社の法人税を比較すると良いです。

法人税率が一律23.2%(2022年時点)であるのに対して、所得税は累進課税で以下のように推移します。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

税率だけで比較すると、8,999,000円までは個人事業主の方が税金面で有利ということになります。

登記関連の費用やその他の税金面も考慮すると、これより多少所得が多くても個人事業主の方が税金が安くなる場合があります。

参照:所得税の税率|国税庁

対外的信用力が必要か

個人事業主と会社を比較すると、やはり会社の方が対外的信用力は高いと言えます。

ただし、どの程度の差があるかは業界や職種によって変わってくるでしょう。

対外的信用力を求めて会社を設立するのも、選択肢の一つです。

とりあえず会社を作るメリットは?

とりあえず会社を作ることでどのようなメリットがあるのか挙げていきます。

税金の面で有利になることがある

上でご説明した通り、一定以上の利益が出ている場合は個人事業主よりも会社の方が税金面で有利なことが多いです。

そのため、利益に対する税金を基準に会社を設立すべきかどうか判断するケースも多いでしょう。

決算日を自由に設定する事ができる

個人事業主の場合、税法で1月1日から12月31日までが事業年度であると定められています。

これを自由に変更することはできません。

その点、会社は決算日、事業年度を自由に設定できます。

特に売上の発生や仕入れの発生月に偏りがある事業では、決算日を自由に設定できることで節税につながることがあります。

個人の資産が差し押さえを受けない

法人と個人は明確に区別されています。

そのため、法人が倒産しても、個人の資産が差し押さえられることはまずありません。

従業員はもちろん経営者自身も、法人とは別の個人として扱われます。

個人事業主の場合、個人の資産も当然差し押さえの対象になります。

融資や資金調達が受けやすくなる

会社は個人事業主よりも社会的信用があるため、融資や資金調達を受けやすいです。

また株式会社の場合は、株券を発行することで株主から出資を受けることができます。

相続税が掛からない

会社を設立することで、資産を分散できます。

相続税は所得税同様に累進課税になっていて、資産額が大きくなればなるほど税率が高くなります。

つまり、資産を分散させることで相続税率を下げていくことが可能です。

また自社の株式を保有し、表面的な資産額を下げることもできます。

とりあえず会社を作るデメリット

とりあえず会社を作ることで発生するデメリットも、あらかじめ把握しておく必要があります。

設立に関する様々なコストがかかる

上で触れた通り、会社設立には登記関係のコストやその他のコストがかかります。

元手がかかる事業の場合、元手も用意しなければなりません。

資金が枯渇すると早々に撤退せざるを得ない可能性もあるので、余裕を持たせた資金の準備が必要です。

社会保険への強制加入

社会保険は複数あり、それぞれ加入条件が異なります。

しかしいずれも条件に該当する保険に加入する義務があるので、その分のコストがかかります。

登記関係のコストや事業資金に加えて社会保険のコストもかかるということです。

事務的な負担の増加

会社を経営していくには事務作業が必須です。

会社員と比較して事務作業が多くなることはもちろん、個人事業主と比較しても事務作業が多くなります。

納税関係の事務作業だけでなく、従業員を雇う場合は雇用関係の事務作業も発生します。

取引先との契約が生じるので、契約まわりの作業も事務作業の一つに含まれるでしょう。

本業のみに集中できるわけではないので、あらかじめ把握したうえで計画を立てる必要があります。

解散時にも費用が掛かる

会社の解散とは、会社の法人格を消滅させる際に必要な法的手続きのことです。

その会社の解散時にも、費用がかかります。

具体的には以下のようなものです。

登録免許税:40,000円程度

官報公告費用:32,000円程度(広告の量によって変動あり)

専門家への依頼費用:数万円~数十万円

会社を解散するためにも、資金的な余力が必要です。

まとめ

会社を作るハードルは昔よりも下がっています。

そのため勢いで会社を設立するケースがありますが、その後会社を持続するハードルは低くはありません。

短期間で倒産してしまうと、資金を失い、負債が残ってしまう場合も多々あります。

会社の設立前に事前準備ができるのであればやっておくに越したことはありません。

事前準備や計画があってこそ、開業後のイレギュラーにも臨機応変に対応できるはずです。

バーチャルオフィスならCandee.worksがおすすめ

バーチャルオフィスは、個人のフリーランスやスタートアップ企業を中心に、コスト面やビジネス効率化などの面から起業のハードルを大幅に下げられるため、非常に注目されているサービスです。

単に起業時の効率化を図る以外にも、都内の一等地を借りるブランディングや、電話・会議室の継続利用など利点が様々あります。一方で、業種業態によっては活用できないなどデメリットも存在しますので、自社の目的や業種などもふまえ注意が必要です。

様々な機能やサービスを格安で提供しているバーチャルオフィスであれば、Candee.worksがおすすめです。これから独立や起業、副業などをお考えであれば、月額1,500円(税別)から利用できます。渋谷の一等地を住所として活用でき、法人登記も可能です。郵便物転送など各種オプションも多数ご用意しています。また、会社設立前から、設立、設立後までビジネスの成長をサポートを行うサービスもあり、Candee.worksにお任せ頂ければ、安心して格安で法人化をすることができます。