会社設立の際に必要な書類は?設立の際の流れについても紹介

個人事業主や副業でビジネスをしている人の中には、利益が増えたり社会保険加入の検討などから、法人格を取得しようと考えている人もいることでしょう。

しかし、実際に法人格で会社設立しようとすると次のような疑問が出ると思います。

  • 必要書類は何があるのか
  • 合同会社にしようと思っているが、必要書類は株式会社と違うのだろうか
  • 会社設立までの流れはどういったものなのか

今回は、このような疑問を解消するべく、登記のために必要な書類から、会社設立までの流れを詳しく紹介します。

株式会社設立時の登記のための必要書類7点

株式会社設立の前に、社名や本店所在地、会社設立日、役員構成などの基本事項を定めておく必要があります。

また、会社登記の前に会社の印鑑も用意しておかなければなりません。

会社設立時の登記にあたって基本事項は必須となるので、しっかりと定めておきましょう。

それでは、株式会社を設立するときの以下の必要書類7点について、それぞれを詳しく解説していきます。

  • 登記申請書
  • 登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
  • 登記すべき事項
  • 定款
  • 取締役の就任承諾書
  • 払込証明書
  • 印鑑

登記申請書

登記申請書とは、法務局へ会社を設立することを申請する書類です。

様式が定められているので、様式の違うものを提出したり記載事項に不備があると訂正する必要があります。

注意しましょう。

登記申請書に記入する内容は次のとおりです。

  • 商号(会社名)
  • 本店所在地
  • 登記の事由
  • 課税標準額
  • 登録免許税

登録免許税は、株式会社の設立登記の場合は資本金の額の1000分の7を記載することになっていますが、その額が15万円に満たない場合には、最低金額である15万円を記載することが定められています。

また、100円未満の端数が生じた場合は、その端数金額は切り捨てます。

登記申請書に必要な添付書類

登記申請するには申請書だけでなく、他にも添付書類が必要になります。

  • 定款
  • 発起人の同意書
  • 設立時代表取締役を選定したことを証する書面
  • 設立時取締役、設立時代表取締役及び設立時監査役の就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 本人確認証明書
  • 設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書及びその附属書類
  • 払込みを証する書面
  • 資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書
  • 委任状

登記申請書を提出するためにこれだけの書類を要するので、できる限り訂正のないように気をつけましょう。

ただし、「設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書及びその附属書類」「委任状」は状況によっては必要ない書類です。

自社に必要な書類か否かをしっかりと判断し、準備しましょう。

登録免許税の収入印紙を貼付した台紙

登録免許税は、登記申請書と一緒に提出する書類です。

また、収入印紙で納付するので、金額に応じた収入印紙を台紙に貼付する必要があります。

このとき、注意すべき点が2点あります。

  • 割印、消印をしないで貼ること
  • 消印作業の都合上、右側に寄せて貼り付けること

誤って収入印紙に割印をしてしまうと、法務局から「申請の取り下げ」か「新たな収入印紙の貼付」の選択を迫られてしまいます。

費用がさらに増えてしまうので、注意しましょう。

消印に関しては、法務局が登録免許税の領収として収入印紙の消印を行うため必要ありません。

郵便物に貼りつけた切手が郵便料金の領収として消印するのと同じものです。

株式会社設立における収入印紙の額は「資本金の額×0.7%」または「150,000円」のどちらか高いほうになります。

登記すべき事項

登記すべき事項で入力する内容は以下のとおりです。

  • 公告をする方法
  • 目的
  • 発行可能株式総数
  • 発行済株式の総数及び数
  • 資本金の額
  • 株式の譲渡制限に関する規定
  • 役員に関する事項

登記すべき事項は、オンライン申請やQRコード(二次元バーコード)付き書面申請によってデータ送信ができ、手続きを円滑に行えます。

また、CD-RかDVD-Rに記録し提出することも可能です。

定款

定款は「会社の憲法」とも呼ばれ、会社を運営するうえでの基本情報や規則を記載した文書です。

株式会社を設立する場合は、定款を作成し公証役場で「公証人の認証」を受ける必要があります。

定款に記載すべき事項は、法律により定められている「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」です。

「絶対的記載事項」とは定款で必ず記載しなければならない事項で、以下の事項の1つでも記入漏れがあると公証役場で受理してもらえなくなるので、注意しましょう。

  • 商号(会社名)
  • 事業目的
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名及び住所
  • 発行可能株式総数

「相対的記載事項」とは、取締役等の任期の延長や株主名簿管理人の設定など定款に記載されていないと効力を発揮できない事項です。

「任意的記載事項」とは絶対的・相対的事項以外の事項で、会社法や公序良俗に反しない限りは自由に定められる事項です。

「任意的記載事項」のみ、定款に記載がなくても効力を発揮できます。

定款の原本は、会社と公証役場で受理されたものをそれぞれ一部保管する必要があり、20年間は公証役場で保存されます。

定款にかかる費用

定款の作成には「収入印紙代」「認定手数料」「謄本手数料」の3つの費用がかかり、おおよそ90,000円ほどが必要となります。

ただし、国が指定する専用ソフトで電子版の定款を作成した場合は収入印紙代を支払う必要はありません。

弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に依頼することもできます。

専門家に電子版の定款を作成してもらうことで、収入印紙代を浮かせることも可能です。

取締役の就任承諾書

取締役の就任承諾書は、取締役として就任を承諾したことを証明する書類です。

なお、取締役が1名のみで、その取締役が代表取締役と兼務している場合は提出不要となります。

  • 日付
  • 設立時取締役の住所
  • 設立時取締役の氏名
  • 会社名
  • 設立時取締役の実印

上記が記入必須事項となるので、漏れのないように気をつけましょう。

払込証明書

払込証明書は、定款で記載したとおりの資本金が、所定の銀行口座に振り込まれたことを証明する書類です。

払込証明書には「払込みがあった募集株式数」「払込みを受けた金額」「証明年月日」「証明者の記名または署名」の記入が必要となります。

定款作成日以後に資本金を払込む必要があり、証明年月日は払込日以降の日付を記載しなければなりません。

印鑑(改印)届出書

印鑑(改印)届出書は、法務局に対し「代表社印」として会社の実印を印鑑登録するための書類です。

印鑑は、銀行印や領収書などに使うものとは別のものを用意する必要があります。

印鑑(改印)届出書は、印鑑証明書の交付申請をするために必要な書類です。

印鑑証明書は登記申請書の添付書類にも必要であり、他にも不動産売買や移転登記、抵当権の設定などさまざまな場面で必要となるので、忘れずに提出しましょう。

合同会社設立の必要書類

合同会社設立に必要な書類は、株式会社設立時に必要なものと同じ書類もありますが、一部異なる部分もあるので紹介します。

合同会社設立において必要な書類は以下の9種類です。

  • 合同会社設立登記申請書
  • 登記事項証明書
  • 定款
  • 払込証明書
  • 印鑑届出書
  • 代表社員就任承諾書
  • 代表社員の印鑑登録証明書
  • 収入印紙
  • 本店所在地決定書

「代表社員」とは、株式会社でいう「代表取締役」のことをいいます。

「合同会社設立登記申請書」「登記事項証明書」「定款」「払込証明書」「印鑑届出書」の記入内容は、株式会社設立時の申請と大きな違いはありません。

「代表社員就任承諾書」と「本所在地決定書」は場合によっては不要です。

「代表社員の印鑑登録証明書」は代表社員全員の印鑑証明書が必要なので、漏れのないようにしましょう。

会社設立の流れ

会社設立に必要な書類を理解したところで、次に会社設立の流れを紹介します。

会社設立の方法は、株式会社では「発起設立」と「募集設立」の2種類がありますが、基本的には「発起設立」を使用するのが一般的です。

したがって、株式会社の発起設立の流れを押さえておくことで、合同会社でも同様の手続きで進めることが可能となります。

そのため、以下の会社設立の手順については、株式会社の発起設立を踏まえて紹介します。

  • 設立の中心者を決める
  • 会社の基本事項を決める
  • 定款の作成
  • 株式会社の場合は定款の認証手続き
  • 資本金の払込
  • 登記書類の準備・確認

では、それぞれを詳しく解説します。

1.設立の中心者を決める

発起設立では、出資者が発起人となり、会社の設立に関する事項を決めていきます。

発起人は1名以上必須で、1株以上の出資が必要です。

2.会社の基本事項を決める

中心者を決めたところで、次に会社の基本事項を決める必要があります。

基本事項は後に定款にも記載する内容となるので、しっかり確認しておきましょう。

決めるべき基本事項は次のとおりです。

  • 事業目的
  • 商号(会社名)
  • 本店の所在地
  • 資本金の額
  • 各発起人の出資額
  • 設立日
  • 発行可能株式総数
  • 設立時に発行する株式の数
  • 株式譲渡制限の有無
  • 会計年度
  • 公告の方法
  • 設立時取締役・設立時代表取締役

本店の所在地は法律上の住所であれば良いので実際の事業活動場所と異なっても問題ありません。

自宅や事務所に設定するケースがほとんどですが、レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所で登記する方法もあります。

この場合、実際に事務所を構えるよりは費用削減できますが、事務所移転の時に登記の変更手続きや登録免許税が必要になるので、長期利用する前提で所在地を定めましょう。

3.定款の作成

定款は、会社の基本情報や規則を決める「会社の憲法」と呼ばれるものです。

「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つがあり、「絶対的記載事項」は必ず記載しなければならない事項です。

さらに、定款は会社設立までの手順の中でも最も時間を要するものなので、余裕を持って準備しましょう。

改めて、絶対的記載事項について紹介します。

  • 商号(会社名)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名及び住所
  • 発行可能株式総数

前手順の決めておくべき基本事項と同じような内容なので、前の手順の段階でいかにしっかりと事項を定めているかが、スムーズに進めるためのポイントとなります。

定款には決まった書式フォーマットがないので、紙か電子定款のどちらかの方法で提出します。

電子定款の場合は国が定めている専用ソフトが必要ですが、紙の場合には必要な収入印紙が不要となるため、近年は電子定款を選択するケースが増えているようです。

専門家に依頼もできますが、最近ではクラウドサービスで簡単に電子定款を作成し、かつ他の必要書類も併せて作成することも可能になったので、ぜひそちらも検討してみましょう。

4.株式会社の場合は定款の認証手続き

株式会社設立の場合は、定款作成後に公証役場で定款の認証手続きが必要となります。

会社設立時に作成する定款のことを「原始定款」と言いますが、この「原始定款」は作成してそのままの状態だと、定款としての効力を発揮できません。

公証役場で認証され初めて効力を発揮できるのです。

ただし、合同会社や合資会社、合名会社では定款の認証手続きは不要です。

定款の認証手続きには、次のものが必要となります。

  • 定款3通
  • 発起人の印鑑証明書(全員分)
  • 認証手数料
  • 定款の謄本交付手数料
  • 収入印紙

認証手数料は5万円、定款の謄本交付手数料は1ページにつき250円ほどかかります。

収入印紙は紙の場合のみ4万円分必要になりますが、電子定款で認証を受ける場合は不要です。

事業が忙しくて本人でなく代理人が認証に出向く場合は「委任状」が必要となるので、注意してください。

5.資本金の払込

発起人または社員は、定款認証手続きが完了した後、設立登記の申請日までにそれぞれの出資金を払い込まなくてはなりません。

この段階ではまだ会社名義の銀行口座は開設できないので、発起人または社員の代表者個人の銀行口座に振り込みます。

この時に、払い込まれた口座の「通帳のコピー」をしておきましょう。

コピーするページは「通帳の表紙」「表紙裏」「振込記録のあるページ」です。

資本金の金額は会社法としては下限がないので1円から申請可能ですが、極端に額面が少ないと、事務所を借りる際の費用が足りなくなったり備品購入ができなくなってしまう恐れがあります。

最低でも初期費用に運転資金3ヶ月分を加算した金額は用意しておくようにしておきましょう。

6.登記書類の準備・確認

最後は登記書類の準備・確認です。

全てA4サイズの書類か確認し、ステープラーで1つにまとめましょう。

登記書類のまとめる順番は以下のとおりです。

  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 定款
  • 発起人決定書
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 払込証明書

「登記すべき事項」「印鑑届出書」に関してはステープラーで綴じず、クリップでまとめて提出します。

登記書類の提出、本社所在地を管轄する法務局への郵送も可能です。

ただし法務局は「不動産登記管轄区域」と「商業・法人登記管轄区域」の区画が違う場合もあり、支局や出張所などで商業・法人登記の手続きができないことがあるため、しっかり確認してください。

郵送する際には「封筒に登記申請書在中と記載」「記録が残る書留で送る」「申請書の上部に、鉛筆で日中の連絡先を記入」すると良いでしょう。

また会社設立日は、法務局に申請が受理された日になることを留めておいてください。

登記申請書の記載事項については商業登記法で定められており、法令にしたがっていない書類で申請すると却下されてしまう可能性があるので注意しましょう。

また、法務局からの問い合わせに対応できるよう、コピーを別で用意しておくことが大切です。

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