一人会社でも社会保険加入は必須!会社設立時に注意したい手続きや費用について解説!

会社を設立した時のメリットとして、社会保険の支払額が下がると聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ただ会社を作ることで社会保険料を下げることができれば、基本的にフリーランス全員が会社を設立してるはずです。

実は、一人会社を設立した場合にも社会保険の加入義務があり、会社分の保険料と自分の保険料を支払わなければなりません

そこで今回は一人会社を設立した場合どのような保険料が必要になるのかをご紹介しますので、一人会社を設立する前の準備に役立ててください。

一人会社でも社会保険加入は必要!

現在多くのサラリーマンが、毎月給料から天引きされている社会保険料を見てため息を漏らしています。

そんな中、一人会社を設立することでこの社会保険料から逃れられると思っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、たとえたった一人しかいない会社であっても、社会保険料は必要です。

また法人は法律上一人の人間として扱われているので、法人として社会保険に加入しなければ自分を含む社員を対象にはできないのです。

会社に雇われているうちは社会保険のことなど何も知らなくても勝手に支払われていましたが、会社を設立するとそうもいきません。

どんな時に使用できる保険なのかなど、社会保険についての知識を蓄えましょう。

万が一の時に、社会保険は助けてくれます。

会社設立時に加入する社会保険の種類と加入手続き

一人会社を設立すると、会社に所属している時とは異なり自分で保険に加入しなければいけません。

代理で専門家に頼むのも良いかもしれませんが、どんな保険なのかを知りしっかりと自分自身で手続きを行うことで、これから始まる支払いにも重みを感じることができます。

感じ方は人それぞれですが、法務局へ提出する書類と社会保険の書類作成は簡単であるという方は多くいらっしゃいます。

また、もしこれから先に事業拡大を行い社員から社会保険について訊かれた時には、しっかりと答えることができなければ示しがつきません。

適当にお金を払っている社長についていく社員も少ないでしょう。

事業拡大した時のことを想像しどのように説明するかまで考えながら学んでいくと、より一層効果的に知識を増やすことができます。

健康保険

フリーランスを経験している方であれば、国民健康保険に加入していたと思います。

会社勤めの方が入社後しばらくするともらえる保険証も、毎月健康保険を払っているために付与されるものです。

病院に行くと会計全体の7割を国により支払われ、高額医療を受けると年収に応じた上限以上は支払わなくて良いのも健康保険があるためです。

手続きは、会社設立から5日以内に年金事務所へ行き、この後紹介する厚生年金と一緒に加入します。

ここで健康保険・厚生年金被保険者資格取得届を提出してください。

一人会社の場合はお一人の加入となりますが、すでに従業員を雇っている場合はここで会社員全員分の健康保険加入が行われます。

また扶養する家族がいる場合には、健康保険被扶養者(異動)届の提出も必要になりますのでご注意ください。

従業員がいる場合は事業主を通じて提出することとなっているので、もし事業拡大を視野に入れ従業員を雇う予定のある方は覚えておくと良いでしょう。

厚生年金

近年、年金の支給額が減り支払額は増えていることから、支払いを渋る方も増えてきているのも事実です。

しかし、年金のうちでも国民年金は70歳未満であれば国民全員が加入する義務があり、さらに一定の条件に当てはまると厚生年金への加入も義務となっています。

週20時間以上勤務している、年収106万円以上ある、1年以上の雇用が見込まれる、従業員501人以上の勤務先で働いている、学生ではないなどの条件のいずれかに当てはまれば、厚生年金の加入義務があります。

年金をもらうまで生きているかわからない…などと言っている方もいらっしゃいますが、若いうちでも怪我などの心身に障害が残り働けなくなった際には年金を受け取ることができるため、老後のこと以外にも安心して労働できる要素の一つとなっています。

四肢のうちどれかが欠損してしまった場合、今までと同様に働けなくなってしまった際にも厚生年金が助けてくれるのです。

もちろん年金は義務ではありますが、これらのことも踏まえて払うことが大切です。

手続きは健康保険と同時に行うので、どちらかを覚えている限り忘れることはありせん。

労災保険

職務中に怪我をした場合など「労災の適用」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、適応されるのは労災保険となります。

労災保険は、職務中の事故などで怪我や命を落とした場合に従業員と遺族に支払われる保険です。

治療費はもちろんのこと働けない間の保証なども行われますので、従業員が安心して働くためには必要不可欠な保険と言えます。

ただし、労災保険は従業員のための保険であるため、一人会社では不要です。

しかし事業拡大して従業員を雇った際には必要不可欠となるので、覚えておいて損はありません。

手続きは、労働基準監督署か公共職業安定所に保険関係成立届を提出することで加入できます。

さらに、成立した50日以内に、労働保険概算保険料申告書と共に年度分の保険料を一括で支払うこととなります。

提出先は保険関係成立届と同じですが、会社設立後に多忙となり忘れてしまわないよう、早めに手続きを完了させておくことをおすすめします。

雇用保険

雇用保険も労災保険と同様に、一人会社であれば加入する必要はありません。

しかし、従業員を増やす時は忙しい場合がほとんどなので、今知識を持っておくことが重要です。

雇用保険は、失業した際にも安心して職探しや職業訓練が受けられるようにする保険です。

失業後は収入がなくなるためなんとかして日銭を稼がなければいけませんが、申請を行い保険が下りることで職探しに集中したり職業訓練を受けることができるのです。

 

 

介護保険

 介護保険は2000年から新たに設けられた制度で、40歳以上の方が被保険者の対象となります。

65歳以上の方が第一次被保険者、40歳から64歳までの方が第二次被保険者とされています。

年金の二重取りのような気もしますが、介護保険は要介護認定、または要支援認定を受けた際に介護サービスを受けられるという、年金とは全く違った制度であることは把握しておきましょう。

介護保険も健康保険や厚生年金と一緒に届け出ることになるため、届け出を忘れることはないでしょう。

一人会社の社会保険料の費用例

一人会社の設立にあたっては、たとえ事業規模や従業員数が同じであっても地域や加入する保険によって大きく異なります。

一人会社を設立するかどうか境界線を決める大きな分岐点ともなる費用ですので、しっかりと把握しておくことが大事です。

東京都の場合を例にすると、収益に対して健康保険が9.84%、厚生年金が18.3%、介護保険は1.8%、労災保険が0.3%、雇用保険が0.9%となっています。

このうち雇用保険は雇用者が0.3%負担すること、また雇用者がいない場合は労災保険と雇用保険が不要です。

たとえば会社としての月の売り上げが35万円あった場合、これらに当てはめると40歳以上の場合は52,395円となります。

しかしながら、これはあくまで会社として支払う額であり、自分が自由に使えるお金とするにはたとえ一人会社であっても給与を払わなければなりません。

社会保険料の金額は収入の割合によって金額が決まります。

どれくらいを自分の給与とするのかは重要なので、税理士などに相談する方も少なくありません。

一人会社でも社会保険未加入が認められる例外

社会保険の未加入が認められている例は、報酬がゼロ、もしくは社会保険料の支払額を下回る報酬である場合です。

先ほどご紹介した通りですが、会社のお金と自分のお金は分けなければなりません。

そこで、自分のお金にするためには給与という形で会社からお金をもらわなければならないのです。

保険料は収入によって変動し、その額が保険料を下回った場合には加入することができないと見なされ社会保険未加入が認められています。

もし生活費が十分にあり「今年は仕事で得た報酬を全て会社の資本金にする」とお考えの方は、社会保険未加入が認められています。

報酬がなければ生活ができない方にとっては難しいことですが、個人資産が潤沢にある方であれば行える方法です。

とはいえ、社会保険とは自分の身に何かあった際に適応される保険です。

怪我や病気で手術を伴う治療が必要になった場合、数百万円の医療費を全額負担するケースも少なくありません。

さらには心身のトラブルにより働けなくなった際にも保険が適応されないため、不安を抱えながら働くことになってしまいます。

加入義務からは外れますが、代償として安心を手放さなければならないことも覚えておきましょう。

もし一人会社で社会保険に加入しないとどうなる?

社会保険未加入が現実的ではないと感じた方がほとんどだと思いますが、支払いをしぶって加入を躊躇してしまう方もいらっしゃいます。

ただし、それを認めている国ではありません。

しっかりとペナルティがあるのです。

それではもし一人会社を設立しても社会保険に加入しなければ、どのようなことが起こるのかをご紹介していきます。

年金事務所から加入要請が届く

まずは加入要請が届きます。

加入要請は忘れている方に対する救済措置と捉えてください。

税務関連は遅れてしまうと追徴税の支払い義務が発生したり場合によっては刑事事件となりますので、それと比較するとかなり優遇されています。

この時点で加入すれば、ここから発生する保険料を支払うことで問題なく加入できます。

加入していない状態で怪我や病気などに罹ってしまうと社会保険の適応外となるため、なるべく早い加入がおすすめです。

しかし、万が一忘れていた場合でも、まずは要請が届くこととなります。

立ち入り検査前の警告がくる

加入要請を放置していると、今度は警告文が送られてきます。

ここまで来てしまうと、関係機関も忘れているわけではなく故意に加入していないのだという認識に変わります。

年金に対する不安や健康保険が必要ないとお考えの方の中には加入しないという選択肢もあるのではないかと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。

しかし、ここでも加入の手続きを行えばその後に発生する保険料を支払うだけで良いので、加入に対してはかなり寛大な対応が設定されていると言えます。

立ち入り検査実施と強制加入

警告も無視していると、いよいよ立入検査が実施されます。

これは経営状況や収益が発生しているかなど詳しく見られるので、その間に業務に支障が出ることもあるかもしれません。

さらに最終的に強制加入となり、ここでは最長2年前まで遡って保険料を納めなければなりません。

2年の理由は民事訴訟の時効が2年であること…逆に言えば2年前までしか遡って支払うことができないのです。

これにはもちろん支払いの義務がありますので、財産の差押等も実施されます。

差押は銀行口座の預金額や報酬から強制的に引かれることとなりますので、支払わないという選択肢はありません。

こうなってくると精神的にも追い込まれることとなるので、この手前には最低でも加入を済ませておきたいところです。

罰則の適応や助成金の給付不可など多くのデメリット

健康保険に加入しないこと、もしくは虚偽の申告などは罰則の対象となっています。

加えて、先ほどご紹介した立ち入り検査の拒否や督促状に応じない対応を行うことも罰則の対象になります。

これらは健康保険法208条に記載されており、違反した場合は6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が課せられます。

またこれらの罰則を受けてしまうと会社としての信用問題が著しく落ちてしまうため、助成金の給付が受けられなくなるデメリットも存在しています。

健康保険制度は健康的に労働を行うための制度であり、保険という構造としても全員が加入しなければ機能しない制度でもあるのです。

そのため、全員加入が義務づけられている中で一部の人間が従わない場合には、相応のペナルティが用意されています。

安心できる社会を形成するために全員で社会保険を運用していくよう考えられている法律なので、社会の一員として必ず加入しましょう。

まとめ

個人事業主として収益が上がると、法人化を行う方が多くいらっしゃいます。

社会的な信用を得るためや事業拡大を行いやすくするためなど理由はたくさんありますが、法人という法律上、一人の人間を作ることを忘れてはなりません。

その法人を運営していくためには当然人間が必要であり、その代表として責任を負うこととなります。

会社を設立するにあたり、まずは社会保険に加入するという責任がのしかかります。

一つ一つの手続きや保険料の納付など、会社に対し、社会に対し責任を全うしているという実感を持ちながら手続きを行うことが重要です。

安心して働ける社会を形成する一員となることを意識しながら、社会保険に加入しましょう。

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