一人会社のリスクは?一人で会社を設立するときの注意点やリスク、回避方法を解説

一人会社を設立するとなると、気になるのはリスクです。

年収が800万円を超えると会社を設立したほうがよいとも言われますが、いくら年収があったとしても一人会社を作ることがノーリスクであるわけではありません。

今回は、そんな一人会社のリスクについてご紹介していきます。

一人会社にはリスクがある?

個人事業主として収益が上がってきた際には、一人会社の設立も検討し始めるかもしれません。

一人会社を設立することで社会的信用も向上するため、今まで以上に仕事が行いやすくなるケースも増えるでしょう。

しかし、一人会社を設立するということはメリットが増えるだけではなく、リスクも上がります。

ここでリスクとメリットを安直に天秤にかける前に、まずはリスクを知り回避する方法を探りましょう。

一人会社設立だけではなく仕事を行っていくうえでもリスクマネジメントは大切になるので、その一環として一人会社のリスクをマネジメントしていきましょう。

一人会社のリスクとあらかじめ注意しておきたいこと

まずは一人会社のリスクについてご紹介していきます。

ここにご紹介する以外にも一人会社のリスクは存在しますが、大きなトラブルになるリスクは以下に記述する内容となります。

リスクマネジメントの基本は、どんなリスクがあるのかを詳しく知ることです。

一つのリスクを知ることで他にも派生するリスクの存在がわかってくることもありますので、ここでご紹介する5つのリスクを深く考え、さらにリスクについて検討する柱としてください。

死亡した際に会社がなくなってしまう

死亡してしまうことはあまり考えたくはありませんが、突然死が訪れることは可能性としてゼロではありません。

経営に関して、株式会社の場合は株主に代表取締役の権限が移ります。

合同会社なら権限は出資者へ移ることとなりますが、それが自分一人だった場合は会社が消滅してしまいます。

自分が死んでしまった後は会社がどうなろうと関係がないと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、取引先はそうは考えません。

突然会社が消滅してしまったら、取引先の会社は新たな委託先を急に探さなければならず、その契約までの間は業務の遅れが生じる可能性があります。

つまり、死亡した際のリスクマネジメントを行っていない場合は営業をかけても信用が得られにくいのです。

たとえば複数の従業員がいる会社と競合した場合、一人の命に会社の経営が左右されてしまうことを考えると劣勢となります。

死亡した際に会社がなくなってしまうというリスクは、自分自身が抱えるリスクというよりも取引先が不安に思うリスクでもあり、信用問題に繋がってしまうのです。

社会保険に加入しなくてはならない

会社を設立した場合、社会保険への加入義務はそのまま継続されます。

さらに会社自体も社会保険に加入しなければならないため、個人事業主として納付していた額以上の費用がかかります。

これは、法人というものは法律上一個人として取り扱われることが理由です。

仕事で得た報酬は会社としての収益となり、そこから給与という形で自分のお金となります。

このシステムから保険料が決まります。

会社としての収益が会社の社会保険料の対象となり、給与分が自分の社会保険料の対象となるのです。

今まで個人事業主として働いていた方にとってはなんだか二重に保険料が引き落とされているように感じてしまうかもしれませんが、法人の収入と個人の収入とを分けて考えた結果となります。

しかし、ただ単純に2倍となるわけではなく自分の給与は経費として換算されるため、会社側の収入額は低くなり社会保険料も低くなります。

自分の給与次第で自分と会社の社会保険料が変わるため、税理士や公認会計士に相談している方も多くいらっしゃいます。

どちらにせよ一人会社を設立しても社会保険の加入が義務づけられていることで、今までよりも金額が上がることは覚えておきましょう。

法人口座開設など複雑な手続きが増える

法人というのは法律上でのみ人間として扱われる存在です。

そのため法律上では法人にも財産があり、その財産は個人の会計と分けなければなりません。

個人事業主として活動していたときは報酬が全額自分のものになっていたかもしれませんが、今後は全て一旦は会社のお金となります。

これらを分けるために、法人口座を開設する必要があります。

さらに、法人口座からのお金の出し入れや詳細な経費計算など、個人事業主として行っていた会計や手続き以上の複雑な手続きが発生します。

なんとなく会社を設立してしまうと、手続きや経理などで大量の仕事が増えてしまうために手が回らない状態になることもあります。

しかし、これらの業務を怠ってしまった場合は刑事罰となってしまうケースもあるため、本来やらなければいけない仕事以上に優先しなければなりません。

今もし個人事業主として活動していて今後一人会社の設立を検討している方は、自分の業務のうちどれくらいを会社の手続きにさけるかを細かく考えてみる必要があります。

一人会社のメリットを受けられるとは限らない

一人会社を設立する大きなメリットは社会的な信用が得られることと税をコントロールしやすいという点だと思います。

しかし、これらのメリットを受けられない可能性があることも頭に入れておかなければなりません。

社会的な信用が役立つのは、取引先での契約と金融機関での融資の場面でしょう。

しかし、先にもご紹介した通り一人会社では自分に何かあった際に会社が消滅してしまう可能性もあることから、取引先からの信用があまり得られないケースもあります。

また取引先と金融機関での融資の際の双方に言えることが、経営が厳しい状態ではあまり信用が得られないということです。

たとえ法人を設立したからとしても、経営がうまくいっている個人事業主のほうが信用が高いケースもあります。

また税のコントロールに関しては、ある程度の収益がない限りコントロールの行いようがありません。

生活するのがやっとの状態で一人会社を設立しても、社会保険料が増えたり法人税を支払わなければならないので支出が増えてしまうだけなのです。

このリスクがあるため、年収800万円が法人の壁とも言われています。

自宅の住所が広まる可能性がある

一人会社を設立する場合、本社所在地をレンタルオフィスやバーチャルオフィスにすることも可能です。

これを行えば登記には自分の住所は掲載されませんし、郵便物も登録しているオフィスに届くので自分の住所が広まるリスクを回避できます。

しかしながら、自宅で活動している場合は郵便物や登記以外の経路で住所が知られてしまう可能性があります。

現在はリモート環境も進化しているので、業務を行うことのみに絞れば自宅が知られることはないかもしれません。

しかし、一人会社は営業も自分で行う必要があります。

こちらはまだリモートが進んでいるとは言い難く、直接取引先の会社に出向くことも少なくないでしょう。

そこで自分の行動範囲が知られてしまい、自宅を特定されてしまうケースもあります。

通常は住所を調べるまではしませんが、悪意を持っている人であれば住所を特定して何かしらの犯罪行為を行う可能性もゼロではありません。

どこかに賃貸でオフィスを構えている場合を除いて一人会社は住所が特定されやすく、さらには犯罪の対象になる可能性もあるのです。

どうやって一人会社のリスクを回避する?

会社を運営する上でリスクマネジメントを行うことは必須です。

これは会社設立時から必要となることであり、先にご紹介したリスクを避けることは会社運営最初のハードルとなります。

リスクを回避するために必要な経費もありますので、この記事でご紹介することが全てではありません。

自分に最も良い回避方法を探したり、経費と天秤にかけて無視する事項もありますので、一人会社を設立する前にしっかりと検討しましょう。

相続の問題を整理しておく

一人会社の場合、自分が死亡してしまうと会社が消滅してしまう可能性もあります。

この状態は、前述した通り取引先や金融機関からの信用を著しく低下させるものとなるために対策が必要となります。

自分が死亡した際に会社が消滅してしまうことが問題なのは消滅自体ではなく、突然会社が行っていたことが消滅してしまうことにあります。

取引先であれば業務の委託、金融機関であれば返済の目処が立たなくなってしまい、一人会社と契約するリスクが高くなるため避けられがちなのです。

この問題点に対してできることは、自分が死亡した際にも機能する会社のシステムを整えておくことです。

相続と聞いて最初に思いつく相手は親族かもしれませんが、会社に関して全くの素人を相続人としていても社会的信用は得にくいと言えます。

自分の身にもしも何かあった場合、同業者に会社の権限を譲渡する取り決めを行っておけば、自分が死亡してもその後の運用を任せられる相手がいるということで信用を得ることが可能です。

また死亡に至らなくても怪我や病気で業務を続けられなくなった際に譲渡すると決めておけば、自分が身動きを取れない場合にもスムーズに事が進みます。

怪我や病気はなってみないと気づかないとはよく言われますが、軽視せずに今できることを行っておくことが大切です。

専門家に相談できる環境を整えておく

会社に雇われている時は、仕事でわからないことがあれば先輩が教えてくれたり、手続きでわからないことがあれば事務職に聞くという方法があると思います。

しかし一人会社を設立すると、繋がりがない限り誰にも相談できません。

さらに言うと、素人の話を鵜呑みにして失敗をしてしまったり、場合によっては刑事罰を受ける対象となることもあります。

最も多いパターンは、脱税の対象になる行為をおこなってしまうことです。

税制は日々目まぐるしく変化し、専門家の税理士であっても把握するのがようやく…といった状態です。

税理士は税金のプロなので税金に対する手続きから節税の方法にいたるまでさまざまなことを網羅していますが、その税理士でさえ追いつくのがやっとの税制です。

仮に同じ経営者仲間であっても、素人から節税の方法を教わったとしても、実行した時には運悪く脱税の対象になりかねないのです。

他にも権利関係や契約関連での訴訟も、会社を経営していると少なからず発生します。

大切なのは問題が起きた際に相談できる専門家との繋がりを構築しておくことです。

経営者のネットワークは強固であり、評判の良い専門家はすぐに人気となるため報酬も高額になりがちです。

しかし経営に関わる最も重要な部分を相談する相手ですので、多少のお金を払ってでも人を選びながら相談できる環境を整えておくことをおすすめします。

経営に関しては、近年経営コンサルタントという職業も増えてきているため、相談相手には良いです。

しかし現状、経営コンサルタントは名乗ればその業務に就くことができるため、経営を全く知らない素人が経営コンサルタント業務を行っているケースも珍しくありません。

そのため、中小企業診断士などの資格の有無を確認したり、実績に関しても自分の業務との共通点を確認しつつどの程度経営アドバイスを行ってきたかなどの確認が必要となります。

専門家を探すことは難しいことですが、今後会社を運営していくうえで必ず力になってくれる方達ですので、労力を惜しまず探しましょう。

代行サービスを使う

近年増えてきているのが代行サービスです。

会社を設立する際の代行サービスに始まり、事務関係の代行サービスも増えてきています。

会社の経理は非常に細かく、知識が必要であったり時間がかかってしまうことは避けられません。

会社の規模にもよりますが、10人程度の従業員を抱える会社でさえ専門の事務職を抱えるほど経理業務は多くあるのです。

一人会社でオフィスもない状態で事務職を雇うというのは現実的ではありませんので、誰かに任せるには代行サービスがおすすめです。

もちろん自分で全て行いたいとお考えの方はそれも不可能ではありませんが、一人会社は会社の仕事を行っているのも自分一人です。

経理関係の仕事をしている時間に本来の業務を行い会社の業績をアップさせていったほうが、後に事業を拡大しやすくなります。

また、経理関連の書類を保存しておくパソコンにも注意が必要です。

ネットワーク関連の脅威は日を追うごとにその対策が難しくなっているのが現状です。

時間をかけて全て自分でおこなっても、経理関連の書類データが盗まれてしまうことで信用は大きく崩れてしまいます。

これらを踏まえると、代行サービスの使用も検討していくことが良いと言えます。

まとめ

一人会社を設立する場合、さまざまなリスクが存在していることがご理解いただけたと思います。

そのリスクをどのように回避するのかが大切であり、実際に世間に一人会社が多く存在していることがリスクを回避できることを裏付けています。

専門家に相談したり代行サービスを使用することで回避可能ですので、お金がかかったとしても後の経営を考えて、利用してみる選択肢は捨てずに持っておきましょう。

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