数年前から増加傾向にあるネットショップですが、法人化したほうが良いという意見も多数あります。
しかし、法人化にはリスクも伴います。
この記事では、なぜネットショップを運営していく上で法人化したほうが良いという意見が生まれるのかをご紹介します。
また、それに関わるリスクやデメリットも知りましょう。
法人化するのとしないのでは経営も大きく変わってくるので、必見です。
ネットショップを開業するにあたり会社設立をすべき理由
ネットショップを開設するにあたって、個人事業主として開業するのか会社を設立して法人として経営していくのか悩ましいところでしょう。
一般的に会社設立のラインは年収800万円前後と言われています。
個人事業主のままでいると所得税が高額となってしまうため、節税の方法が増える法人にしたほうが手元に残るお金が多くなるためです。
しかしそれは一般的な話であって、ネットショッピングに関しては少し異なる観点から、法人化することを最初に検討する必要があります。
ネットショップを運営するにあたっては、商品を仕入れる必要があることはご存知かと思います。
これは何か自分の技術力のみを売り出していく業種とは異なり、仕入れで何かを買い付け自分が開設したネットショップで売れた時に初めて収益が発生するからです。
そのため、最初にある程度の資本金が必要となります。
このことを考えると、ネットショップを開設する際には会社設立を行ったほうが良いと言えます。
ネットショップの開業にあたり法人化するメリット・デメリット
ネットショップで開業するには法人化したほうが良いというのは前述した通りですが、全て良いことばかりではありません。
法人化することによるデメリットも存在するからこそ、事業スタート時に法人化しない方もいらっしゃるのです。
そこで、ネットショップで開業するにあたり、法人化したときのメリットとデメリットをご紹介していきます。
ネットショップと一言で言っても取り扱う商品はさまざまですので、メリットとデメリットを知ったうえで、自身が取り扱う商品の特性に合わせて開業するかどうかを決定するのがベストでしょう。
メリット
会社の法人化を行うと、法律上1人の人間として取り扱われます。
さらに、個人事業主と法人代表では、同じ収益を上げていたとしても圧倒的に法人代表のほうが社会的信用を得られます。
このことからどんなメリットがあるのかをご紹介していきます。
漠然と法人化したほうが良いとお考えの方も、どんなメリットがあるのかを詳しく知ることで法人化のモチベーションアップにも繋がりますので、必見です。
金融機関からの融資
第一に、金融機関からの融資を受けやすいという点にあります。
資金が豊富にある状態でネットショップを開設したり、ハンドメイド商品を販売していて材料費が極端に安い場合を除いては、仕入れにかかるお金が必要になるのは大きな問題です。
少ない資本金で融資なく経営することも可能ではありますが、売れ筋の商品を多く仕入れなければすぐに売り切れ状態となってしまい、販売のチャンスを逃すこともあるでしょう。
クレジットカード決済で販売し入金日に入ったお金を使って再び売れ筋商品を仕入れても、すでに流行りは去ってしまっていて大量に在庫を抱えてしまうということもあります。
ある程度の資本金を準備することはネットショップを成功させるために重要なことではありますが、普通に働いている状態でそこまでの資本金を増やせる方は滅多にいないでしょう。
そこで金融機関を頼るわけですが、個人事業主よりも法人代表のほうがやはり信用度は高いのです。
法人を設立しているということはそれだけしっかりした事業が行われているという外見的なイメージだけではなく、もし倒産した場合にも法人は代表個人だけではなく債権者が立つなどの返済リスクを下げることができるためです。
もちろん開業当初から倒産を考える人はいませんが、金融機関はそのあたりをしっかり見てきます。
結果として法人化していたほうが、個人事業主として金融機関を利用するよりもさらに多くの資金を調達することにつながるのです。
経費の幅が広い
すでに個人事業主として事業をスタートしている方の中には、青色申告によって経費計上している方も多々いらっしゃるでしょう。
基本的に個人事業主も法人も経費計上できるものに関しては変わりありません。
しかしながら、自分の給与を経費計上できるという点に関しては大きな違いが生まれます。
結論を見れば法人化したことによって自分の給与が経費計上できるということになるのですが、根本的に考え方が違います。
会社を法人化するということは、法律上会社が1人の人間として扱われるということです。
実際に人間は存在しなくても人間として扱われるので、家賃や仕入れにかかるお金が経費になるのは当然です。
しかしそれ以外にも、人を雇っているという点では、例え代表であっても会社に雇われ給料をもらっているという考え方になります。
会社の資本金から自分の給与を支払っているという図式が完成するので、経費に換算することが可能となるのです。
この他にも車や携帯電話、クレジットカードなども法人枠が使用できるようになることから、そもそもかかる経費を安く抑えることもできるため、法人化するメリットは大きいと言えます。
デメリット
ネットショップに関しては基本的に前述した通り法人化を行うことがメリットにつながりますが、行っている事業内容によっては個人事業主としてスタートしたほうが良いケースもあります。
その検討事案としてデメリットもしっかり押さえ、法人化するか個人事業主としてスタートするのかを決定する必要があります。
会社設立費用がかかる
会社をスタートするにあたっては、会社設立のための費用がかかります。
これに関しては法務局への登記や税務署への手続きなどが必要となるため、法人化するために必要な費用となります。
全て自分で行った場合は20万円以上の費用がかかることは頭に入れておきましょう。
現在は会社設立のための代行会社などもあり、電子定款を利用することにより自分で手続きを行うよりも若干安くなる場合もあります。
しかし、どちらにせよ20万円の費用はかかります。
20万円あれば多くの商品を仕入れることが可能であり、運転資金を20万円ほどで運営している方もいらっしゃるかもしれません。
その場合は運転資金がなくなってしまうので、法人化は避けたほうが良いかもしれません。
実際に今自由に使えるお金と運転資金とを考えながら会社設立に踏み出すことをおすすめします。
自力で税務申告するのが難しい
法人になると税務関連が突然難しくなります。
個人事業主としてすでに開業している方は、ご自身で確定申告を行われているものと思います。
しかし、いざ法人化してみると提出書類や項目が難解になり、自力で申告するのは難しくなります。
さらに、年々目まぐるしい早さで税制が変わるため、去年までは節税で認められていたのに今年は脱税に該当する場合もあります。
消費税の申告や近年採用されたインボイス制度の適応などその手続きに手を焼いて、なんとか対応できたとしても、多くの時間を費やしてしまうことは目に見えています。
税制のプロである税理士でさえ新たな税制に対応するのに精一杯…というケースも珍しくないのが現状です。
自分での申告が困難な場合、税理士にお願いすることになると思います。
税理士にお願いするためには費用もかかるため、個人事業主から法人化した際にさらに経費がかかることになることは覚えておきましょう。
ネットショップの開設をする際に会社を設立するステップ
ネットショップを開設し会社を設立しようと決意が固まったら、いよいよ行動に移しましょう。
まずは何を行うべきかを整理する必要があります。
細かな部分もありますが、大きく分けると3つのステップがあります。
今までは既存の会社に合わせるスタイルで収入を得ていたかもしれませんが、これからは自分の好きなようにカスタムし収益を受け取っていくための第一歩となります。
1.販売する商材を考える
ネットショップというからには、何かを売らなければなりません。
そこで、販売する商材について今一度考えましょう。
今売れ筋の商品を取り扱うのか、自分の好きなものを取り扱い固定客を得るのかなど、悩む点がたくさんあると思います。
ネットショップ大手であるZOZOタウンを設立した前澤友作さんは、アメリカに留学していた経験から独自でルートを確立させTシャツ販売を行い、そこから会社を大きくしました。
現在では海外から直接購入できますが、当時ではなかなか手に入らないTシャツを半ば独占的に販売できたという点が収益をアップさせた要因です。
このように、流行だけに囚われず自分の特性を出していくことも良いでしょう。
売り方も大切な要因ではありますが、取り扱う商材が会社の今後を決めるとも言えますので、充分に考えた上で決定していきましょう。
2.仕入ルートの検討
仕入れルートはネット上に限らずショップで重要な役割を担っています。
まず気になるのが仕入れ値です。
少しでも安く仕入れて高く販売することができれば、収益は当然上がります。
仕入れに関しては法人でなければ卸してくれない業者が多いため、ここでも法人化したメリットが出てきます。
これは個人事業主が軽く見られているわけではなく、誰でも卸売から購入できてしまっては値崩れが起こり、さらには誰もショップから買わなくなってしまうためです。
また、仕入れ値がいくら安いからと言っても納期に時間のかかる業者は避けたほうが賢明でしょう。
定期的に売れる商品であれば話は異なりますが、ショップ経営は売り切れ状態を短くすることが重要です。
独占販売している商品ではない限り、せっかく買い手がショップページを訪れても売り切れでは他のショップで購入されてしまいます。
Amazonや楽天で商品を検索すると、同じ商品を取り扱っているショップがいくつも存在することが確認できると思います。
売り時を逃さないためにも、最良の仕入れルートを見つけることは重要なのです。
3.ネットショップ開設サービスかモールか自社サイトか考える
取り扱う商品と仕入れルートを決めることは店舗型のショップを出店する場合と同様ですが、ネットショップはどこに開設するかを決める必要があります。
まずは最近増加傾向にあるネットショップ開設サービスです。
有料と無料のサービスに分けられ、中にはプログラミングの専門知識がない状態でもネットショップを解説できるサイトも存在しています。
オリジナルで簡単なネットショップを開設したいとお考えの方にとってはおすすめです。
次にモールですが、これはAmazonや楽天で商品を販売する方法です。
一定の出店費用がかかりオリジナリティを出しにくいといった点では他に劣りますが、広告費用が抑えられるというメリットが大きいです。
ネットショップ開設サービスや自社サイトを開設した場合、ショップのページに訪れないという問題が発生するので、広告を出さなければいつまでも人は訪れません。
しかしモールに関してはある程度の人たちがサイトを訪れて商品を探しているため、自分が出店した商品を見てもらえるという大きなメリットがあります。
実際のショップに置き換えると、一軒家で建物の外観などをカスタムできる自社サイトに対し、大型ショッピングモールに出店してある程度制約はかかるものの人は集まる場所なので看板を出しておくだけでお客さんが入店する感覚のモール出店です。
最後に自社サイトですが、オリジナリティは出せますが専門知識が必要となります。
さらには決済サービスにかかる費用も必要となるため、経費が多くかかりがちです。
またレンタルサーバー上で開設する場合は、ネットショップ開設を認めていないサーバーもあるため、しっかり選ぶ必要があります。
自社サーバーで開設することも可能ではありますが、セキュリティやネットワーク障害の観点からネットショップ開設にあたってはあまりおすすめできません。
ここまでご紹介すると自社サイトを避けたほうが良いようにも思えますが、オリジナリティが出せることと宣伝する際にも信用度も上がるため、今後事業を大きくしている予定がある方に関してはおすすめできます。
ネットショップを運営する際の注意点
ネットショップを運営するにあたって、経営がうまくいくかどうかという問題の前に法律違反を行ってしまっては元も子もありません。
場合によっては逮捕されることもあるため、注意点をしっかりと把握しながらネットショップを運営する必要があります。
例えば最近では、古くなったジーンズをバッグに改造して販売していた業者が無断でロゴを使用していたとして商標権侵害で行政処分を受けています。
経営者として法律を守るということは最重要事項として注意しましょう。
特定商取引法に基づく表示の必要性
インターネットで販売を行うということは、特定商取引法に該当します。
過大広告の禁止や宣伝方法、海外の方への販売方法など細かく定義されています。
インターネットという特性上、知らずにショップを展開していても発見されてしまえばすぐに摘発されてしまいます。
また契約締結に関しても詳しい決まりがあるため、専門的な知識が必要となります。
ネットショップを運営していく上では知らなければならない内容であるため、法律を学んでしっかり適合していることを確認しながら運営しましょう。
まとめ
増加傾向にあるネットショップですが、法律に触れてしまうこともしばしばあります。
犯罪にならないように正しい知識を身につけながら経営を行うことが大前提ですが、それに加えて法人化を行うのかという問題もあります。
自分の理想とする経営と現実をしっかりと見極め、ネットショップを法人化するのかどうかをよく考えてみましょう。
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