大企業の副業解禁を皮切りに、年々サラリーマンの副業が一般化しています。
副業しているサラリーマンの中には会社設立をしている人もいますが、そういう人を見ると自分でも会社設立をしようか悩むという人も少なくありません。
しかし実際に副業で会社設立をしようとすると、会社設立をすべきタイミングがあったり、副業を会社に秘密でしている場合は勤務先にバレたくないなどさまざまな疑問や悩みが露呈してくるでしょう。
今回は、上記のような悩みを抱えている人に向けて、副業サラリーマンが会社設立をすべきタイミングを解説します。
副業で会社設立をするメリット・デメリットも紹介するので、会社設立へ向けての参考にしてください。
副業サラリーマンが会社設立をすべきタイミング
副業サラリーマンをしている人の中には、個人事業主として開業届を提出していたり、手続きを何もせずに副業していたりと、さまざまな形態で副業している人がいると思います。
こうした副業サラリーマンが会社設立をすべきタイミングを紹介します。
主に以下の4つです。
- 副業の利益が500万円〜700万円程度になったとき
- 課税売上高が1000万円を超えたとき
- 本業+副業の投資で700万円を超えたとき
- 副業で社会的信用が必要なとき
では、それぞれを詳しく解説します。
副業の利益が500〜700万円程度になったとき
副業の利益が500万円〜700万円程度になったときに、会社設立をすると得をする可能性があるので、会社設立のタイミングとして考えて良いでしょう。
個人事業主として副業を行っている場合は、収入から経費を差し引いた「利益」の金額により定められた税率で所得税がかかります。
会社設立をする場合は、会社の所得金額により法人税が発生します。
ここで理解しておかなければならない点が、個人事業主の税率は累進課税という制度があるので、所得が多くなればなるほど税率が高くなってしまうということです。
所得が低い場合は所得税率が最低の5%であるため低くなりますが、所得が多くなると最大で45%もの税率で課税されてしまいます。
他にも個人事業主の場合は、一律10%の住民税と5%程度の個人事業税がかかります。
一方で会社設立をした場合の法人税は、所得金額が高かったとしても最大で23.2%で、法人住民税や法人事業税を含めても最大34%程度となります。
一定額以上の利益が生まれるようになった際に会社設立をしたほうが良いと言われるのはこのためです。
課税売上高が1000万円を超えたとき
課税売上高が年間1000万円を超えた場合、消費税の納税義務が生じます。
課税売上高とは消費税の課税対象となる取引の売上高のことで、取引先や顧客から預かった消費税を国に納める必要があるのです。
課税売上高から除外される売上高は、土地の売却、住宅家賃、社会保険診療報酬などの消費税の非課税取引にかかわる収入なので、ほとんどの売上高が課税売上高となってしまいます。
しかし課税売上高が1000万円を超えてから2年間は、消費税の納税が免除されます。
個人事業主として事業を行ってきた人でも、会社設立をすると個人事業主の期間は基準期間として計算されません。
つまり、課税売上高が1000万円を超えるタイミングで会社設立をすることで、消費税分の節税効果を2年間得ることが可能になるのです。
本業+副業の投資で700万円を超えたとき
副業サラリーマンの中には、不動産投資をしている人もいるでしょう。
不動産投資をしている人の中には、不動産を会社所有の名義にしたり、会社に個人名義の不動産を貸し出したりするために資産管理の会社設立を行う人も少なくありません。
不動産の賃貸業をしている場合は、本業の収入と不動産投資から得られる収入を合わせて700万円を超えたときに資産管理会社の会社設立をすると、税務上で有利になるとされています。
合計年収が700万円を超えている場合は、資産管理会社の会社設立を検討してください。
副業で社会的信用が必要なとき
会社設立をすることで、多くの場面で社会的信用を得ることができます。
企業によっては個人でやっているところ、個人事業主とは取引しないと決めているケースもあります。
そういう場合には、せっかく事業が軌道に乗っていても、さらなる飛躍を目指すことは困難となってしまいます。
また、事業を手伝ってくれる人が欲しいからと人材募集をしても、日本人は「株式会社」や「合同会社」などの肩書きがあることに安心します。
特に大企業で働いている人ほど、その傾向が強いのです。
金融機関でも、個人事業主というだけで融資金額を下げられてしまうこともあります。
その点、会社設立をして「〇〇会社」という肩書きを得るだけで上記のようなケースを回避することができるのです。
場合によっては相手から取引をしたいから「〇〇会社」をつけてくれと懇願してくることもあるので、会社設立をすることで得られる社会的信用度は計り知れません。
会社員が副業で会社を設立するメリット
副業サラリーマンが会社設立をすべきタイミングを理解しても、実際に会社設立をするとなると結構な勇気を要しますよね。
会社設立をするうえでのメリットをよく理解することで実行に移せるまでの勇気を得られるかと思いますので、以下の3つのメリットを紹介します。
- 経費にできる幅が広くなる
- 法人を名乗ることで社会的な信頼性が上がる
- 節税効果が高い
それぞれを詳しく紹介するので、会社設立を検討する際の参考にしてください。
経費にできる幅が広くなる
個人事業主でも会社設立をしても、基本的には事業にかかった費用はすべて経費にできます。
具体的な例を挙げると、「家賃」「駐車場料金」「水道光熱費」「ガソリン代」「打ち合わせの飲食代」「会食代」などです。
仕事関連での冠婚葬祭で支払う「慶弔費」なども経費にできます。
会社設立をすると、上記のものに加えて、個人事業主よりもさらに経費にできる幅が広くなります。
給与や賞与、退職金、一部生命保険などが経費計上できるようになるのです。
個人事業主の場合は給与という概念がなく、売上から経費を差し引いた金額が事業所得になるので、自身への収入を経費として計上することはできません。
一方会社設立をすると、自身に支払う給与を「給与所得」として経費にすることができるのです。
賞与や退職金も同様に経費にできます。
生命保険に関しては、すべての保険種類が経費にできるのではなく一部の保険種類を全額もしくは部分的に経費にできます。
個人事業主となると所得控除にはなりますが経費として認められているわけではなく、また12万円までという上限もあります。
会社設立をすると、事業の運営には欠かせないさまざまな支出を経費にできるのです。
法人を名乗ることで社会的な信頼性が上がる
前述の「副業で社会的信用が必要なとき」でも記述しましたが、会社設立をすることで法人を名乗ることができるようになり、社会的な信頼性が大きく上がります。
たとえば金融機関から資金調達をしたい場合に、会社設立をしたほうが融資を受けやすくなります。
これは、金融機関が会社設立をして法人を名乗っているほうが社会的信用が高いと認めているからです。
会社ではなく人で考えると、何も知らない人からお金を貸してほしいと言われてもなかなか信用はできませんよね。
それと同様で、会社設立をすると登記されるので「事業者名」「事業目的」「事業所在地」などを把握できることから信用しやすくなり、融資を受けやすくなるというわけです。
他にも会社設立をして法人を名乗ると、優秀な人材確保にもつながります。
法人として「株式会社」や「合同会社」などの肩書きがあると、個人事業よりも労働環境が良く給与や部署配属などの待遇面でも良いイメージを持ちやすいです。
個人事業主が人材の募集をすると社会的信用度が低かったり、経営者の名前や店舗の雰囲気などを把握しづらい傾向があるので、人材はなかなか集まりません。
安定を求めている人や能力の優れた人、特に大企業に勤めていた人は、必然的に法人からの募集に目が行きやすいのです。
節税効果が高い
会社設立をして法人化すると、多くの面で節税効果を感じることができるようになります。
最も節税効果を感じるものは、会社の利益を役員報酬として支払うことで法人所得を減らすことができ、かつ個人としての所得を圧縮できることです。
個人事業主の場合、前述のように事業で得た利益を事業者に支払っても、給与という概念がないためにすべてが課税対象となってしまいます。
一方で、法人化して親族を役員にし報酬を支払うと個人の所得を圧縮でき給与になるので、給与所得控除が適用されるのです。
この場合は、親族が多いほど節税効果を期待できます。
会社設立をして法人化すると「欠損金の繰越控除期間が長く」なり、事業が赤字になってしまった年は法人税が課税されないことになっています。
事業を開始して間もない頃は、赤字になるケースが多いのが現実です。
しかし、赤字になっても次期以降で利益が出ると赤字になった分を差し引いての納税が可能となり、大きな節税効果を期待できます。
ただし、繰越控除できる欠損金は適用できる期間や限度額が定められており、繰越控除を受ける条件もあるので注意しましょう。
「青色申告書の提出」「帳簿書類の保管」「欠損金の発生年度以降も決算書を提出している」という3つの条件があります。
繰越控除できる期限は欠損金が発生した年度によって異なり、最大で10年間の繰越控除を受けられるので、長い期間節税することが可能です。
会社員が副業で会社を設立するデメリット
副業サラリーマンの会社設立には大きなメリットがあることを紹介しましたが、デメリットがあることも事実です。
以下の3つのデメリットを理解することで、会社設立へのイメージもしやすくなるでしょう。
- 勤務先にバレる可能性がある
- 会社設立に費用がかかる
- 法人税を支払う必要がある
それぞれを詳しく解説します。
勤務先にバレる可能性がある
副業が禁止の会社で働いている副業サラリーマンが一番恐れていることは、勤務先にバレることではないでしょうか。
副業が勤務先にバレてしまうと、解雇や謹慎などのトラブルにつながってしまいます。
事前に許可を得たり、バレないための策をとったりなどの行動が必要です。
もし結婚している人であれば、法人の取締役を配偶者で登記して会計処理や業務は自分で行うとすると、問題なく会社を設立できます。
他にも役員報酬を受け取らないでおくと、会社にバレずに副業ができます。
あくまで「役員報酬を受け取っているのは配偶者」とし、自分は給料を受け取らないようにする方法です。
株主を自分にしておけば会社への発言権も認められ、会社への影響力も保持できます。
ライフスタイルを豊かにするために副業をしても、勤務先にバレてトラブルになってしまっては元も子もありません。
勤務先にバレないよう、さまざまな対策を練るように気をつけましょう。
会社設立に費用がかかる
会社設立には費用がかかります。
サラリーマンに限ったことではなく、すべての会社設立者にかかってしまう費用です。
会社設立では主に「定款認証手数料」「定款用収入印紙代」「登録免許税」が大きく費用を締める部分で、20万円〜25万円程度がかかります。
定款を紙ではなく電子にすると収入印紙代は省けますが、専用ソフトやICカードリーダライタなどの導入で費用がかかります。
他にも専門家へ依頼する場合は手数料もかかってしまうので、会社設立をする際にはしっかりと創設資金を確保したうえで取り掛かりましょう。
法人税を支払う必要がある
会社設立をすべきタイミングでも記載したように、会社設立をすると法人税の納税義務が生じます。
他にも法人住民税や法人事業税もかかるようになり、法人化すると社会保険の負担額も増えてきます。
個人事業主にかかる所得税と比較すると税率は低いですが、節税対策のためにも500万円以上の利益が出てから会社設立をするようにしましょう。
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